アラル海地域における気候に対して強靭な農業への日本による支援枠組みのもと、訪日技術研修による持続可能な開発の取り組みを強化

2024年11月14日
a group of people posing for a photo
Photo: UNDP Uzbekistan

東京発 – 日本政府の拠出によりUNDPウズベキスタンが実施中のプロジェクト「アラル海地域における気候に対して強靱な農業を通じた自立支援事業」の一環として、2024年10月8日から15日にウズベキスタン政府およびUNDP代表団が訪日し、日本における農業関連技術の現場を視察しました。本技術研修は、アラル海地域のコミュニティが直面している課題に対処するために、日本の高水準の農業技術や水管理および持続可能な開発における取り組みを学ぶことを目的として実施されました。

アラル海地域の生態系システムは世界でも特に脆弱であり、同地域は気候変動、水不足、環境破壊の深刻な影響を受けてきました。これらの課題に対処するために、本事業は気候に対して強靭な農業の取り組みや革新的な社会インフラを導入することで、現地コミュニティの自立を支援しています。

アリシェール・シュクロフ・ウズベキスタン農業副大臣は、農業の重要な役割として、市民の健康改善、食料安全保障の確保、雇用の創出、安定的な国家開発などを挙げ、今回の訪日研修における日本の技術や専門知識の共有は、ウズベキスタンの農業システムの強化に繋がると強調しました。これらのプログラムは、現地専門家のスキルを向上させ、農業における取り組みを改善させるとともに、現代的で持続可能な農業を目指すウズベキスタンによる広範な目標を支援するものです。

a group of people standing outside of a building
Photo: UNDP Uzbekistan

藤井明子UNDPウズベキスタン事務所常駐代表は、農業への節水技術導入は非常に重要であると強調しました。また、常駐代表は、気候変動による世界的影響の中で、中央アジアにおける水資源は限られており、ウズベキスタンでの対応は急務となっていると指摘します。水不足が深刻な地域で持続可能な農業を発展させるためには、効率的な水管理が不可欠となります。節水技術を導入することで、ウズベキスタンにおける持続可能な農業、効率的な水利用、気候変動に対する強靭性の推進が期待されます。

訪日技術研修では、関連する機関や施設を訪れ、ウズベキスタンでも応用可能な技術や農法を見て回りました。

  • フジミンを用いた有機肥料技術:塩分を含んだ沿岸部の土壌などの環境改善や収量増加のために日本で活用されている、高濃度フルボ酸の植物活性剤「フジミン」の用法について見聞しました。代表団は、京都の農場を訪問し、農家と直接意見交換を行いました。
  • 一村一品(OVOP)運動:地域資源を活用して独自で高品質な商品を生産することで、コミュニティの自立を推進するOVOPの取り組みは、地域ブランドの開発やビジネス機会の増加のためのモデルとして紹介されました。OVOP商品については、千葉県白井市と京都市大原地区で実例に触れました。
  • 浄化槽による廃水処理:代表団は、環境にやさしい廃水処理システムである浄化槽を利用した施設を訪れました。このような技術は、アラル海のような特に水資源の限られた地域で重要となります。浄化槽施設の訪問は、テラオライテック株式会社によって引率され、千葉県にて廃水処理システムを視察しました。
  • カイゼンによるビジネス開発:継続的な改善を表す日本の概念である「カイゼン」は、現地企業がどのように生産性、持続可能性、競争力を向上できるかを示します。愛知県の株式会社ノーリツイスがカイゼンの好事例を紹介し、代表団は工場見学を通じて、様々な椅子の生産サイクルについて学びました。
  • 持続可能な農業と水の効率的利用技術:エネルギーと水を効率的に利用し、環境への負荷を抑えた革新的な農業技術について学びました。

今回の訪問で得た知識と経験は、ウズベキスタンにおける生産性向上、地域コミュニティ支援、そして持続可能な環境の推進を目的とした政策や取り組みの発展に役立つものとなります。

本事業について

UNDPによる「アラル海地域における気候に対して強靱な農業を通じた自立支援事業」は、日本政府による拠出のもと、2023年から2025年にかけて実施されます。本事業は、持続可能な農業、代替エネルギー源、そしてきれいな水へのアクセスの推進を通じて、アラル海における災害の影響を受けた人々の食料安全保障、経済的安定、全体的な福祉の向上を目指しています。