UNDP、動画「未来の天気予報」日本語版公開

「今なら予報を変えられる」と気候危機訴え

2024年5月30日

6/1(土)の気象記念日を前に、5/31(金)、国連開発計画(UNDP)は気候変動に対する認識を高め、次世代のために対策を取るよう訴える動画「未来の天気予報」の日本語版を公開します。

動画では、気象予報士に扮した子どもがテレビ番組さながらの天気予報を伝えます。ただ、伝えるのは「未来の天気予報」。気候変動対策が適切に進められなかった場合の2050年の天気予報を伝え、「これは単なる天気予報ではなく、私たちの未来だから」と呼びかけます。

「世界中で天気がおかしくなっている」と話す気象予報士役の子どもは、「94%の子どもが熱波の影響を受け、外遊びができなくなる」「小麦が獲れなくなる」「災害で税金が膨れ上がる」と2050年の天気予報を伝え、「科学者を信じないと、将来にはもっとおかしくなる」と警告を発します。一方で、対策を取れば「今なら予報を変えられる」と力強く訴えます。

本動画は全世界で気候変動に関する市民の対話を促進し、行動を呼びかけるために、国連開発計画(UNDP)が世界気象機関(WMO)などの協力を得て制作しました。英語、フランス語、スペイン語、アラビア語、中国語、イタリア語、タイ語などさまざまな言語版が制作され、80カ国以上で展開されています。

今年9月、国連では未来サミットが開催されます。未来を見据え、国境も世代も越える協力がますます重要です。また、11月にはアゼルバイジャンで気候変動対策を話し合う国連の会議「COP29」が、そして2015年のパリ協定から10年目の節目となる来年は、「COP30」がブラジルで開催されます。

世界気象機関(WMO)は今年4月、「アジアの気候2023年版」を発表し、アジアでは温暖化が世界平均を上回るペースで進み、2023年も引き続き、気象・気候・水関連の災害に世界で最も多く見舞われた地域だったと報告しました。加速する気候変動は社会、経済、生態系に大きな影響を及ぼすと指摘しています。

アヒム・シュタイナーUNDP総裁は、「気候変動に惰性で取り組めば、『今日の子どもたち』や将来の世代にとって、ますます住みにくい地球になっていくでしょう。今、私たちがスピードと規模をあげて行動しなければ、軌道修正はできません。」と述べています。 

セレステ・サウロWMO事務局長は、「気候の危機は、人類が直面している決定的な課題です。2023年は、過去9年間と同様、記録的な猛暑となりました。熱波、洪水、干ばつ、山火事、猛烈な熱帯低気圧などの異常気象は増加し、社会・経済に甚大な影響を及ぼしています。今日の私たちの決断が、今後何世代にもわたって続く未来を形作ることになります。」と語りました。

動画は1分半です。気候危機の深刻さや対策について考えるきっかけとなれば幸いです。授業や各種イベントなどでもぜひご利用ください。

なお、日本語版制作にあたっては、NHK東京児童劇団のご協力をいただき、今西あかりさんにナレーションを担当していただきました。どうもありがとうございました。