中小企業の立ち上げを目指す女性や若者の支援を通じて地域経済の活性化に期待
UNDPと日本政府、ブーゲンビル自治州に初のイノベーション・ハブを開設
2024年6月14日
2024年4月18日、パプアニューギニア、ブーゲンビル自治州の北部ブカ地区で日本政府の資金拠出により建設されたイノベーション・ハブの開設式典が行われました。式典には同自治州のイシュマエル・トロアマ大統領、渡邊信之駐パプアニューギニア日本国特命全権大使、国連開発計画(UNDP)パプアニューギニア事務所のニコラス・ブース常駐代表が出席しました。UNDPは日本政府の支援を受け、ブーゲンビル自治州において、ブカ地区を皮切りに、中部のアラワ地区、南部のブイン地区の全3カ所で今年中にイノベーション・ハブを開設する予定です。
イノベーション・ハブは主に女性、若者及びその他の社会的支援を十分に受益できていない層を支援する拠点として、地元住民が普段利用できないコンピューター設備、インターネット環境、オフィス用品などを提供し、研修や職業訓練を通じて、デジタルリテラシーの向上と起業家の育成を目指しています。イノベーション・ハブは、UNDPと日本政府による無償資金協力「ブーゲンビル住民投票後支援計画(Sustaining Peace Through Economic Empowerment)」の一環として、長年に及ぶ紛争を経た地域の経済基盤を確立する目的で設立されました。ハブの施設には起業志望者のための作業オフィス、女性向け資料センター、ITラボなどが備わっており、今後は起業に必要な知識の習得や大きな経済成長が見込まれる地場産業の育成に焦点を当てたセミナーやワークショップが開催される予定です。
式典で最初に挨拶をしたUNDPのニコラス・ブース常駐代表は、「ようやく手に入れたブーゲンビルの平和は、地元住民の経済的エンパワーメントなしには維持できません。イノベーション・ハブが、様々な立場の住民の創造性とビジネス精神を引き出し、強固な経済的基盤の構築に貢献すると確信しています」と強調しました。
また、渡邊大使は挨拶の中で、「本日は、日本とブーゲンビルの歴史的関係において重要な日となりました。このプロジェクトは日本政府とUNDPがブーゲンビル自治州の将来性に寄せる信頼と自信の証しであり、この美しい島の繁栄と平和で持続可能な未来という我々の共通ビジョンを象徴しています。イノベーション・ハブが、女性と若者にとって、未来を切り拓く上での自らの重要な役割に気づくきっかけとなることを願っています」と述べました。
最後にトロアマ大統領は、「日本政府はブーゲンビル自治州には物理的な拠点を開設していませんが、日本がブーゲンビルの和平プロセスで果たしてきた貢献の影響力は、州全土にわたり広く感じられています。これまでのみなさんの貢献は、我々に変革的な転機をもたらしており、このイノベーション・ハブもまた未来に向けてより国際的な思考、経営活動へと転換するために必要不可欠です。我々にとって、今こそ新たなアイディアや技術による革新的な事業を受け入れる時なのです」とスピーチを締めくくりました。
UNDPは、安定した電力供給によるイノベーション・ハブの長期的運営を見据え、同じく日本政府の資金拠出を受けた無償資金協力「気候に対して強靱な発展及びネット・ゼロに向けた太平洋地域におけるグリーントランスフォーメーション推進計画 」のもと自家消費型の太陽光発電が各施設に設置される計画です。本案件(BRH のProject Briefのリンク‐近々完成)は太平洋地域の島嶼国4カ国(パプアニューギニア、サモア、東ティモール、バヌアツ)で、再生可能エネルギー導入や運輸・交通セクターの脱炭素化に向けた取り組みを支援しています。
なお、アラワ地区とブイン地区のイノベーション・ハブの完成および開設は、2024年5月を予定しています。 現在、ブーゲンビル自治州で進行中のプロジェクトの詳細はこちらをご覧ください。