日本の支援によりトルコにて瓦礫処理施設を設立
2024年9月2日
アンカラ発 − 地震によりトルコ南部の11県が壊滅的な被害を受けてから1年半が経ちました。国連開発計画(UNDP)トルコ事務所とトルコ環境・都市化・気候変動省は、昨年の大地震の影響により発生した瓦礫の安全な処理とリサイクルのための2つのモデル施設の完成を記念した式典を開催しました。ハタイ州とハフラマンマラシュ州に設置された瓦礫処理施設は、地震により発生した膨大な量の瓦礫の安全な管理と処理を目的として設立され、これら支援は日本政府による7億円(483万米ドル)の無償資金協力により実現されました。
地震によって5万3,500人以上の命が奪われ、31万3,000棟以上の建物が廃墟と化し、その結果、1億立方メートル(重量にして2億トン)以上と推定される途方もない量の瓦礫が発生しました。現在、ほとんどの市街地では瓦礫が撤去されていますが、山積みになった瓦礫は、都市郊外にある86ヵ所の仮置き場(ハタイ市の26ヵ所、カハラマンマラシュ市の18ヵ所を含む)で適切な分別と処理が行われるのを待機している状態にあります。地震の瓦礫に混じっている可能性があるアスベストやその他の有害廃棄物については、公衆衛生上の懸念が続いています。
ルイーザ・ヴィントンUNDPトルコ常駐代表は、「震災瓦礫の適切な管理は、被災地の復興の前提条件となります。日本の寛大な支援で建設した施設は、環境への負荷を軽減し、人体の健康へのリスクをなくすことに役立ちます」と述べました。
勝亦孝彦在トルコ日本国特命全権大使は、「本事業は、ハタイ州とカハラマンマラシュ州にて瓦礫処理によって健康被害を防ぐと同時に、トルコ経済を支える社会インフラを強化するために計画されました。本事業はもうすぐ完了しますが、日本はより広範な支援の一環として、災害廃棄物処理分野での復興支援を継続します」と述べました。
産業用の破砕機、磁力選別機、ベルトコンベアを備えた新施設では、まず有害廃棄物を除去し、次に金属、繊維、プラスチック、ガラス、木材などのリサイクル可能なものを分別し、段階的に瓦礫を処理します。汚染除去された残りの瓦礫は、4つの異なるサイズに破砕され、アスファルトの下の道路の充填材として使用され、舗装ブロックが製造されることになります。 2つの処理施設は現在試運転中であり、数ヵ月後には1時間当たり100トンの処理能力に達する見込みです。震災瓦礫に対するこのアプローチが広く普及すれば、埋立地は大幅に縮小され、掘削や製造が必要な建設資材の代用品となるため、二酸化炭素排出量の削減も可能になります。
UNDPは1年間の事業期間において、環境・都市化・気候変動省が瓦礫の保管場所の地図作成と調査を行い、 リサイクル施設に適した2カ所の場所を特定することを支援しました。日本の専門知識と技術を活用し、包括的な瓦礫管理戦略と管理実施計画が作成されました。施設の運営者、技術者、管理者に対し、粉塵とアスベストの管理に焦点を当てた労働安全衛生研修も実施されました。自治体職員、政府機関、その他の関連係者にも、環境に配慮した安全な瓦礫管理について説明が行われました。さらにUNDPは、移動式破砕機3台、アスベスト検出装置2台、防護服2万着を提供しています。
環境・都市化・気候変動省環境管理局長のファティ・テュラン氏は、「本事業は、地震被災地の平穏を取り戻し、持続可能な復興を支援するための継続的な努力における大きな節目となります。瓦礫の環境的に安全な管理と、我々の環境目標の推進に重要な貢献をした日本とUNDPに感謝します」。また、環境・都市化・気候変動省欧州連合・対外関係総局長のイスマイル・テュズゲン氏は、「地震によって約1億立方メートルの瓦礫が発生し、環境省として、撤去過程について多くの機関や学識経験者と協議しました。廃棄物は、環境に優しい方法で経済に再利用されるべきです」と述べました。